入院16日目その2 初めての眠剤

治療のために飲んでいるプレドニンの副作用だと思うが、少し前から夜になっても妙に気分が高揚してなかなか寝付けない体になってしまった。
消灯時間を大幅に過ぎた頃にやっと眠れたと思っても2〜3時間後には目を覚ましてしまい、そんな時間では当然6人部屋で好き勝手遊ぶわけにもいかないので、仕方なく地下2階の自販機コーナーへ行き、アドエスをいじりつつ、温かい飲み物を飲んだりして再び眠くなるまで時間を潰すのだが、その姿をちょうど準夜勤(?)を終えて退勤する看護師に頻繁に目撃され、その時は明るく挨拶をしてくれるのだが、どうも後でばっちり報告されているのは確実っぽい様子。


まぁ、今は入院中なので、夜に眠れなければ昼間に眠れば良いような気もするが、それだといずれは完璧に昼夜逆転して、ますます誤解を受けてしまいかねない。


というわけで、またも看護師さんに「最近、興奮気味で夜に眠れない上に、小刻みに目が覚めるんですが…」と相談したところ、「それなら眠剤でも飲んでみますか」とあっさりしたお返事。


眠剤睡眠薬。これまでの自分の人生で一度も服用したことのないタイプの薬である。
こう言うとアレなんだけど、飲んだら何かに負けちゃう気がするというか、もっと強力な薬へステップアップしていきそうというか…。
「症状を緩和するタイプ」の薬は散々飲み慣れているから良いんだけど、「ある状態に誘導する」とか、「ある状態を作り出す」薬にはどうも抵抗があるんだよなぁ…とか渋っていると、「そんなに強い薬じゃないし、副作用とかも気にするほどじゃないですよ」と言われて、それなら一度飲んでみるかとレンドルミンD 0.25gというのを1錠出してもらった。

寝る30分前に飲めということなので、素直に消灯時間の30分前に飲んで横になり、本を読みつつ眠くなるのを待つ。
消灯時間が近づいてくるにつれてもの凄い眠気が……ちっとも来ない。あれ、これ、別に眠くならないんですけど…薬が合わなかったのかな? とか思っていると、ふと、肉体的・精神的に異様に落ち着いている自分に気づく。このまま悟りでも開けるんじゃないかと思えるくらいの静かな心境と言うとちょっと大げさだけど、通常ではなかなか体験できない落ち着き具合なのは確かだった。
眠くないけど、いつ寝ても良い、ちょっと不思議な感覚。


結局、この日は久しぶりに消灯時間直後に眠りに落ち、朝まで一度も起きなかった。